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1.土壌汚染対策への取組について
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「土壌汚染対策法」(平成14年5月29日、法律第53号)が策定され、土壌汚染に対する関心が高まっています。
「土壌汚染対策法」では、有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地や、土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地が対象とされています。また、広島県では、「広島県生活環境の保全等に関する条例」(平成15年10月7日、条例第35号)により、土壌環境の保全として、一定規模以上の土地の改変者に土地履歴調査等の一連の措置が義務づけられています。
皆様のお困りの問題をお選びください。
なお、当会では現地調査の計画および実施・保全対策のご提案を行っております。お気軽にご相談ください。 |
■土壌汚染対策法について
1.土壌汚染対策法の概要
2.調査および汚染の除去等の措置について
(1) 土壌汚染状況調査について
(2) 汚染の除去等の措置について |
■広島県生活環境の保全等に関する条例について
1.広島県生活環境の保全等に関する条例の概要
2.調査および汚染の除去等の措置について
(1) 土地履歴調査・土壌汚染確認調査について
(2) 汚染の除去等の措置について |
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1.土壌汚染対策法の概要
「土壌汚染対策法」(平成14年5月29日、法律第53号)は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置およびその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的としています。
「土壌汚染対策法」の概要は以下のとおりです。
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2.調査および汚染の除去等の措置について
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(1)土壌汚染状況調査について
○ 対象となる土地
・使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地
・土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地(都道府県等が認めるとき)
○ 対象となる物質(特定有害物質)と指定基準
法の対象となる有害物質(法第2条)は、「それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるもの」として選定され、[1]直接摂取によるリスク、[2]地下水等の摂取によるリスク、に係る項目に分けられます。土壌汚染のある土地として指定される「指定区域」の指定基準が定められています。
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対象物質と指定基準 |
指定有害物質(法第2条) |
土壌溶出量基準
(地下水等の摂取によるリスク) |
土壌含有量基準
(直接摂取によるリスク) |
揮発性有機化合物(第1種特定有害物質) |
クロロエチレン |
0.002mg/l以下 |
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四塩化炭素 |
0.002mg/l以下 |
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1,2−ジクロロエタン |
0.004mg/l以下 |
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1,1−ジクロロエチレン |
0.1mg/l以下 |
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シス−1,2−ジクロロエチレン |
0.04mg/l以下 |
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1,3−ジクロロプロペン |
0.002mg/l以下 |
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ジクロロメタン |
0.02mg/l以下 |
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テトラクロロエチレン |
0.01mg/l以下 |
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1,1,1−トリクロロエタン |
1mg/l以下 |
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1,1,2−トリクロロエタン |
0.006mg/l以下 |
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トリクロロエチレン |
0.03mg/l以下 |
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ベンゼン |
0.01mg/l以下 |
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重金属(第2種特定有害物質) |
カドミウムおよびその化合物 |
0.01mg/l以下 |
150mg/kg以下 |
六価クロム化合物 |
0.05mg/l以下 |
250mg/kg以下 |
シアン化合物 |
検出されないこと |
(遊離シアン)50mg/kg以下 |
水銀およびその化合物 |
0.0005mg/l以下 |
15mg/kg以下 |
アルキル水銀 |
検出されないこと |
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セレンおよびその化合物 |
0.01mg/l以下 |
150mg/kg以下 |
鉛およびその化合物 |
0.01mg/l以下 |
150mg/kg以下 |
砒素およびその化合物 |
0.01mg/l以下 |
150mg/kg以下 |
ふっ素およびその化合物 |
0.8mg/l以下 |
4,000mg/kg以下 |
ほう素およびその化合物 |
1mg/l以下 |
4,000mg/kg以下 |
農薬等(第3種特定有害物質) |
シマジン |
0.003mg/l以下 |
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チウラム |
0.006mg/l以下 |
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チオベンカルブ |
0.02mg/l以下 |
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ポリ塩化ビフェニル |
検出されないこと |
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有機りん化合物 |
検出されないこと |
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○ 対象物質と必要な調査
物質ごとに行うべき調査には「土壌含有量調査」「土壌溶出量調査」「土壌ガス調査」があり物質の分類によって必要な調査が定められています。
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物質ごとに行うべき調査 |
特定有害物質 (法第2条) |
土壌含有量調査 |
土壌溶出量調査 |
土壌ガス調査 |
揮発性有機化合物 (第1種特定有害物質) |
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○ |
○ |
重金属等 (第2種特定有害物質) |
○ |
○ |
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農薬等 (第3種特定有害物質) |
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○ |
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○ 調査方法
サンプリング地点の数は、100m2につき1点とし、土壌汚染の可能性が低い場所は900m2に1点とします。汚染が存在するおそれがない区域は、採取しなくてもよい場合もあります。
○ 調査機関
調査は指定調査機関(環境大臣が指定)が行います。(なお、(財)広島県環境保健協会は、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関です。(指定番号2003-1-839))
○ 調査結果について
土壌汚染状況調査の結果は、指定基準に適合した場合は非指定区域となります。これを上回った場合、都道府県等により指定された「指定区域」(法第5条)の範囲および土壌汚染の状況等が「指定区域台帳」に記載され、閲覧されることになります。
なお、汚染された土壌の除去等により、指定の事由がなくなった場合には、指定が解除されます。
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【土壌汚染状況調査について】
土壌汚染対策法では、特定施設の使用廃止や工場・事業場の閉鎖、あるいは知事が人の健康被害のおそれがあると認めたときに土壌汚染状況調査を実施し、土壌汚染対策を推進することとしています。
対象となる土地の所有者、管理者または占有者の方は、環境省の指定調査機関に土壌状況調査を依頼し、その結果を都道府県知事(広島県の場合、広島市、呉市、福山市は市長)に報告しなければなりません。
調査の報告命令、調査命令違反等は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。 |
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(2)
汚染の除去等の措置について
土壌汚染状況調査の結果、指定基準を超える汚染が明らかになった場合、都道府県等はその土地を指定区域に指定し、人の健康被害のおそれがある場合には汚染原因者や土地所有者等に対し、汚染の除去等の措置を命令することができます。
土壌汚染は、水や大気と比べて移動性が低く、土壌中の有害物質は比較的拡散・希釈されにくいため、浄化を直ちに行わなくても、まず有害物質の暴露経路の遮断を行うことによりリスクの低減を図ることが可能です。ただし、指定区域の解除(台帳からの削除)のためには、封じ込め等ではなく、掘削除去措置や原位置浄化措置といった土壌汚染の除去措置を講じ、指定基準以下にする必要があります。
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○ 汚染土壌の直接摂取によるリスクの観点からの措置
盛土措置を原則とし、土地利用状況や措置実施者等の希望によっては、立入禁止措置、盛土、 舗装措置、土壌入れ換え、土壌汚染の除去を実施します。
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立入禁止措置: |
指定区域の土地周辺に、みだりに人が入れないよう囲いを設ける。 |
盛土: |
指定区域の土地を、砂利その他の土壌以外のもので覆い、次に、厚さが50p以上の汚染土壌以外の土壌により覆うこと。 |
舗装: |
指定区域の土地を、厚さが10p以上のコンクリート若しくは厚さが3p以上のアスファルト又はこれと同等以上の耐久性および遮断の効力が有るもので覆う。 |
土壌入れ換え: |
土壌を掘削して地表面を低くし、その上部を基準に適合する土壌で覆う。 |
土壌汚染の除去: |
汚染土壌の掘削により除去する、あるいは、原位置で有害物質を抽出又は分解等により浄化し有害物質を除去すること。 |
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○ 地下水等の摂取によるリスクの観点からの措置
地下水汚染が発生していない場合は、地下水のモニタリングを実施します。
地下水汚染が既に発生している場合は、汚染の状況や措置実施者等の希望により、封じ込め
措置、不溶化措置、土壌汚染の除去措置等を実施します。
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原位置封じ込め: |
汚染土壌のある範囲の側面に、最も浅い不透水層の深さまで地下水浸出を防止するための構造物を設置する方法 |
遮水工封じ込め: |
地下水浸出を防止するため構造物を設置し、その内部に取り出した汚染土壌を埋め戻す方法 |
遮断工封じ込め: |
当該指定区域に水密性を有する仕切設備を設置し、その構造物の内部に取り出した汚染土壌を埋め戻すこと |
不溶化埋め戻し: |
汚染土壌を掘削し特定有害物質が水に溶出しないよう改質し、当該土地に埋め戻すこと |
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【汚染の除去等の措置について】
汚染の除去等の措置にはいろいろな方法があります。揮発性有機化合物、重金属、農薬等、対象とする土壌の汚染原因や汚染濃度等、および措置技術の適用可能性を踏まえて、措置命令が出されます。
指定区域における措置命令に違反した場合等は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。 |
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○ 土地の形質変更の制限
指定区域内で土地の形質変更をしようとする者は、都道府県等に届出をしなければなりません。
都道府県等は、土地の形質変更に係る施行方法が一定の基準に適合しない場合には、計画の変更を命ずることができます。
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【土地の形質変更について】
土地の形質の変更の計画変更命令に違反した場合等は、1年以下の懲役や100万円以下の罰金等の罰則が科せられます。
また、土地の形質の変更届出をしなかったり、虚偽の届出をした時は、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。 |
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1.広島県生活環境の保全等に関する条例の概要
広島県では、土壌環境の保全を図るため、「広島県生活環境の保全等に関する条例」(平成15年10月7日公布)により、土地改変時における改変者の義務を定めています。
これにより、一定規模以上の土地改変を行おうとする場合、あらかじめ改変する土地の履歴調査を実施し、県(広島市、呉市および福山市においては、各市)に報告することが平成16年10月1日から義務づけられました。
「広島県生活環境の保全等に関する条例」の土壌環境の保全の概要は以下のとおりです。
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2.調査および汚染の除去等の措置について
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(1)土地履歴調査・土壌汚染確認調査について
○ 対象となる土地改変者 |
- 都市計画法第29条第1項又は第2項の規定により許可を受けなければならない行為(行為に係る面積が1,000m2以上のものに限る)をしようとする者
- 宅地造成等規制法第8条第1項により許可を受けなければならない行為(行為に係る面積が1,000m2以上のものに限る)をしようとする者
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○ 対象となる物質(土壌関係特定有害物質)
対象となる物質は、土壌汚染対策法に規定する特定有害物質と同じ物質です。ただし、取り扱っていた物質に含まれる土壌関係特定有害物質の濃度が1%未満の場合は、原則として土壌関係特定有害物質を取り扱っていたことには当たらないものとします。(物質に含まれる土壌関係特定有害物質そのものを処理する場合は除きます。)
○
土地履歴調査の方法
水質汚濁防止法等の制定時期を考慮すると、昭和46年頃まで遡って、改変しようとする土地についての過去の状況を調べる必要があると考えられています。
調査の方法として、過去に立地していた物件や、地目、土地所有者を調べたり、近隣の住民等の聞き取りなどが考えられます。また、汚水等関係特定事業所の廃止届出等の書類の調査も有効です。土地履歴調査を実施しても、十分な資料が得られず、土地の利用状況が明確にならなかった場合、履歴調査の経過をまとめ、提出します。
なお、履歴調査を実施する者には、特に資格は定められていません。
○ 土壌汚染確認調査の方法
土地履歴調査の結果、過去に土壌関係特定事業場が設置されていた事実が判明した場合は、その状況等を土地履歴の実施結果として報告します。
更に、条例に定める土壌汚染確認調査を実施して、その結果を届出ます。
土壌汚染確認調査は、過去に取り扱っていた土壌関係特定有害物質について、汚染のおそれが最も大きいと認められる地点で実施します。調査は、条例施行規則第30条および土壌汚染対策指針に沿って実施します。この時、土壌汚染確認調査は土壌汚染対策法と同様に、環境省の指定調査機関に調査させることとされています。
・土壌関係特定事業場
土壌関係特定事業場とは、汚水等関係特定事業場(土壌関係特定有害物質を取り扱ったことのあるものに限る)、ガソリンスタンド、射撃場の3つが定められています。
汚水等関係特定事業場とは |
- パン又は菓子の製造業の用に供する洗浄施設
- 養豚業の用に供する施設(生後6月以上の豚50頭以上を飼養又は収容できるものに限る。)であって、次に掲げるものです。
イ 飼養施設
ロ 収容施設
ハ ふん尿の廃棄施設
- 理化学に関する試験研究の用に供する洗浄施設
- 流水式塗装施設
- 水質汚濁防止法施行令(昭和46年政令第188号)別表第一に掲げる施設
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(2)汚染の除去等の措置について
土壌汚染確認調査の結果、土壌の汚染の状況が条例施行令規則で定める基準に適合しなかった場合、該当する土地の汚染土壌の拡散を防止するために、汚染拡散防止計画書を作成して、知事(広島市、呉市、福山市は各市長)に提出します。
土地改変に当たっては、作成した汚染拡散防止計画の内容に従って必要な措置を実施する必要があります。
なお、開発を断念した場合には、汚染拡散防止計画書の策定義務はありません。ただし、汚染土壌により人の健康に影響を及ぼすおそれがある場合等において、対策を講じる必要があると考えられるものは、土地改変を行わない場合でも、土壌汚染対策法に基づき処理することになります。
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○
汚染拡散防止計画書
汚染拡散防止計画書の作成事項は以下のように定められています。なお、作成に当たっては、土壌汚染対策指針に従って適切に作成しなければいけません。 |
- 土地の汚染の状況
- 汚染の拡散防止を行う区域
- 汚染の拡散防止の方法
- 汚染土壌の搬出の有無および搬出先
- 汚染の拡散防止措置の開始および終了の時期
- 汚染の拡散防止措置の期間中の環境保全対策
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○ 汚染の拡散防止の方法について
汚染の拡散防止の方法は、土壌汚染対策法に定める汚染の除去等の措置と同様のものが想定されます。改変予定地の汚染の状況等を勘案して、適切な方法を選定します。
○ 条例の規定違反について
土地改変者が条例に規定する義務を適正に履行しない場合には、必要な措置を執るべきことについて勧告を受けることがあります。勧告に従わなかった場合は、その旨を公表することがあります。 |
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