災害時における遊休井戸等の水質検査

大規模な災害が発生した際に水道管や浄水場が被災すると各家庭に水道水が送れなくなり『断水』になります。復旧が長引けば長期間に及ぶ断水となり、飲み水はもちろんのことトイレや洗濯などの生活用水の不足が深刻な問題となってきます。
そのような断水時に、飲料水や生活用水の供給源として活躍するのが『井戸水』です。地域によっては「防災井戸」とか「災害時供給井戸」とも言われ、いざというときに利用できる体制が広まってきています。当協会では水道水質検査機関として、普段使用されていない井戸(遊休井戸)等を緊急時に使用するために様々な取組を行っています。
1.広島県と災害時における水質検査協定を締結しています
災害等で長期間断水が続く場合、地域住民の飲用水確保を目的に市町の求めに応じて、遊休井戸の水質検査を無償で実施する協定を2015年5月28日に広島県と締結しました。
協定名:災害時の遊休井戸等の共助利用に係る水質検査に関する協定
2015年5月28日協定締結時の状況はこちら
(1)協定の運用フロー(2024年11月現在)

(2) 過去に実施した無償検査の実施件数(2024年11月現在)
年度 | 災 害 | 水質検査の件数 |
---|---|---|
2006 | 県営水道トンネル崩落 | 200件 |
2010 | 庄原豪雨 | 17件 |
2014 | 広島市大規模土砂災害 | 29件 |
2018 | 平成30年7月豪雨 | 491件 |
2.非常用給水袋を寄贈しました
平成30年7月豪雨災害時に実施した遊休井戸等の水質検査結果では約6割の井戸水が基準に適さない水(飲めない水)でした。要因の一つに試料容器自体の汚れや酒や醤油類などのペットボトル由来の着臭や内容物汚染がありました。
災害時の貴重な水が、容器自体の汚れにより飲めない水と判断されることを防ぐために、当協会では緊急時には井戸水検査用の採水容器として使用でき、かつ応急給水時の水の確保にも使用できる非常用給水袋を2020年8月4日に広島県に寄贈しました。
2020年8月4日寄贈時の状況はこちら
3.地域ぐるみ井戸水検査を実施しています
災害のあるなしにかかわらず、広島県内の中山間地では多くの世帯で井戸水を飲用や生活用水として普段から利用されています。
当協会では広島県内の各市町にある公衆衛生推進協議会(略称:公衛協)からの要請に応じ、その市町地域内にお住まいの井戸所有者から提供される飲用井戸水の検査を定期的に行っています。
検査後にはそれら井戸水の水質結果について当協会職員が講師として説明会を行っており、水質基準値を超えた場合は対策も助言しています。
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